2010年05月15日

男女の心の機微を描いた作品 イアン・マキューアン『初夜』

初夜 (新潮クレスト・ブックス)初夜 (新潮クレスト・ブックス)
村松 潔

新潮社 2009-11-27
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イアン・マキューアン『初夜』
ブックデータより引用
史学者を目指すエドワードと若きバイオリニストのフローレンスは、結婚式をつつがなく終え、風光明媚なチェジル・ビーチ沿いのホテルにチェックインする。初夜の興奮と歓喜。そしてこみ上げる不安―。二人の運命を決定的に変えた一夜の一部始終を、細密画のような鮮明さで描き出す、優美で残酷な、異色の恋愛小説。


結婚式を終えた新郎新婦。お互いの事情で婚前交渉はなかった。その夜の夫婦の営みを描いた作品だが、初々しいというか、恥じらいやプライドが入り混じり、男性と女性では感情移入が違うし、年齢や性に対する意識などでも読後感は変わる。
デリケートな問題。
数時間の心の揺れ方の描写が巧い。何が最善かと、読みながら考えたけど、男性の気持ちが理解できなくはない。
あまり書くとネタばれになるので避けますが、格調高い恋愛小説。

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posted by 美結 at 09:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新潮クレスト・ブックス | 更新情報をチェックする

2009年10月07日

ピアノ魅力が満載 T.E.カーハート『パリ左岸のピアノ工房』

パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス)パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス)
Thad E. Carhart

新潮社 2001-11
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T.E.カーハート『パリ左岸のピアノ工房』
ピアノ工房が語りだすピアノの魅力のノンフィクション。

子どものころにピアノを習いたいと親に懇願しましたが願いは叶わず。友達の家にあったグランドピアノ。お母様がピアノ教室を開いていた。初めてグランドピアノと遭遇。今にして思えば、わたしは手が小さく、1オクターブを押さえるのがやっと。習う機会があったとしたら苦労したと思う。この1、2ヶ月はピアノ演奏をCDやコンサートで聴くことが多かった。坂本龍一、上原ひろみの新譜。クラシックはドッビュシー。矢野顕子のピアノリサイタルなど。
ピアノは演奏ではなく聴く立場。
本書ではピアノとの運命的な出会い。ピアノの歴史や逸話、変遷など、初めて知ることも多くとても楽しく読むことができました。当たり前でしょ言われそうだけど、木でできているんだな、と感心し材質が変わると音色はどうなるかしら、想像をめぐらす。
読んでいてウキウキ、ワクワク。
音楽が好きな方なら楽しめると、太鼓判を押したい一冊。


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2009年06月13日

わすれてはいけない過去 フィリップ・グランベール『ある秘密』

ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)
Philippe Grimbert 野崎 歓

新潮社 2005-11
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フィリップ・グランベール 野崎歓訳『ある秘密』
フランスの高校生が選ぶゴングール賞受賞。

ひ弱な僕は架空の兄を空想し遊んでいた。
簡潔な文章から忘れてはいけない過去が浮かびあがる。

図書館を巡回していた日、フランス文学のコーナーとヤングアダルトコーナーでこの本に呼び止められた。新潮クレストブックスで読みたいと思っていたので借りてきた。
無駄のない簡潔な文章。「秘密」とは気になりながら読んでいく。途中、同じクレストブックスから刊行のベルハルト・シュリンク『朗読者』やアゴタ・クリストフ『悪童日記』が記憶の引き出しから飛び出してきた。この本はこの2冊のキーとなる時代が同じである。
フランスの高校生たちは授業では知らない歴史に気付き、この本を賞賛したんだと思う。これはフランスだけの話ではないし、日本でもあの時代のことは、特集番組や歴史について書かれた本を読んで知ることが多い。
書くことであの時代を消化。
以前は文庫になっていたが絶版。また、文庫で復刊し多くの人に読んで欲しいと思える一冊。
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posted by 美結 at 14:16 | Comment(2) | TrackBack(1) | 新潮クレスト・ブックス | 更新情報をチェックする

2009年02月06日

ジュンパ・ラヒリの初長編『その名にちなんで』

その名にちなんで (新潮文庫)その名にちなんで (新潮文庫)
Jhumpa Lahiri 小川 高義

新潮社 2007-10
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ジュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』
新潮クレストブックスから文庫化。
息子に、ある古典文学作家の名前をつけた夫婦。
家族の物語を端正な文章で描いた作品。

ラヒリの作品を読むのは、これで2作目。
「その名」については、文庫の裏側に書かれていますが、あえて伏せてます。でも、その作家さんの作品を読んだことはあったし、既読か否かで印象が変わるかもしれません。
緩やかな時間の流れの中、家族のこと、息子の成長が瑞々しい文章で書かれて、時間をかけて読み、読書の醍醐味を堪能。
ラヒリの観察眼の鋭さは、情景描写、細やかな感情の動きを静謐な文章できらびやかに浮かびあがらせて、わたしは好きです。
年齢を重ねたかたのほうが、受け入れやすいかもしれません。
わたしも微妙なお年頃なので、物語を受容できたのかな。

その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)
ジュンパ・ラヒリ 小川 高義

新潮社 2004-07-31
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2007年02月05日

心の機微を映し出す短篇集 ジャンパ・ラヒリ『停電の夜に』

停電の夜に停電の夜に
ジュンパ ラヒリ Jhumpa Lahiri 小川 高義

新潮社 2000-08
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ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』。
短篇集。
・停電の夜に
子どもの死産で生活が一変した夫婦が、停電の夜に経験したこと。
・ピルガタさんが食事に来たころ
少女が経験した異国人との出会い。
・病気の通訳
ガイドしている男の夢物語。
・セクシー
不倫の女性の女心。
・セン夫人の家
ベビーシッターをしているセン夫人の生活。
・神の恵みの家
新婚夫婦が住んだ家には、秘密が隠されていた。
・ビビ・ハルダーの治療
病に苦しむビビ。病は治すすべに奔走する。
・三度目の最後の大陸
老婆との出会いの話。

全編に香りだす異国文化の匂いと生活の違い。
永遠の出会い、刹那な出会い。
心を機微を映し出す短篇集。
一気に読むのがもったいないので、少しずつ噛み締めながら読んだ。
一夜に一話ずつ読んでいく。
蝋燭の灯りのような温もりを感じる物語。
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2006年11月12日

自叙伝 暗闇からの脱出 キャスリン・ハリソン『キス』

キスキス
キャスリン ハリソン Kathryn Harrison 岩本 正恵

新潮社 2004-06
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キャスリン・ハリソン『キス』読了。
作家しての著者の自叙伝。
幼いころに両親は離婚して、奔放な母と、厳格な祖父母に育てられた主人公。父の顔をしらない彼女が、父親と対面し、その行動に戸惑う。
父娘は親子して一線を越えてしまった。
彼女は歩むべき道を模索する。

以下ネタバレです。


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2006年10月18日

新潮クレスト・ブックスの一冊 ベルンハルト・シュリンク『朗読者』

朗読者朗読者
ベルンハルト シュリンク Bernhard Schlink 松永 美穂

新潮社 2003-05
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ベルンハルト・シュリンク『朗読者』読了。
15歳の少年は親子ほど違う女性と知り合い、恋に落ちる。彼女は本を読んとでせがむ。逢瀬では、愛し合うことと、朗読が儀式のようになった。
彼女が突然、失踪。そして再会。再会で彼女の秘密がわかり、苦悩する。彼はある行動をとったその結果は・・・。

新潮クレストブックスから発刊され、現在は文庫になっています。夏の文庫100冊にもラインナップされていますね。読み終えて、彼女がとった行動、ラストの一文は、読むものに色んなことを考えさせる。

追記)2009年6月10日
映画『愛を読みひと』の原作。
6月19日に公開。

以下少しネタバレしています。
未読の方はここまで。

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posted by 美結 at 09:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新潮クレスト・ブックス | 更新情報をチェックする