2014年06月30日

三浦しをん『舟を編む』-辞書作りの情熱を描く

舟を編む舟を編む
三浦 しをん

光文社 2011-09-17
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三浦しをん『舟を編む』。
2012年本屋大賞受賞。

本屋大賞で既読は、
・小川洋子『博士の愛した数式』
・恩田陸『夜のピクニック』
・リリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
・佐藤多佳子『一瞬の風になれ』
・伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
・冲方丁『天地明察』
・三浦しをん『舟を編む』

本屋大賞を受賞しても必ず読むわけではないし、既読で好きなのは『博士の愛した数式』ぐらい。好きな本の傾向とは、やや違うので今回も期待しなかったら「やられました」。もう少しボリュームが欲しいと思うけど、終盤思わず涙を流していた。装丁を見直すと再び「やられました」。新たな辞書『大渡海』を編集することになり、編集部員の奮闘を描いた作品。主人公のまじめ君こと馬締光也が、一直線で個性的。辞書作りついては、テレビで『大辞林』の編集のドキュメンタリーを見たので、編集のエピソードは少しは知っていた。また出版に関わる企業に在籍していました。出版社や印刷会社の取材協力が物語を生みだした。わたしの愛用の辞書は『新明解国語辞典』。学生の時に使いこんでボロボロになった第二版と、数年前に購入した第六版。知らない言葉を調べるのは好きだったので、本書に出てくるエピソードにも笑ったり、頷くこと多数。言葉って一つの意味ではないし、時代とも意味が追加されたり、話し言葉では消えたりする。まじめ君の几帳面さは正直に言おう、好きだ。字体のエピソードもそうそう。この辺に共感できるかは、仕事の経歴がわかる部分。
辞書への愛情、言葉を大切する姿がとてよかった。
まじめ君以外の登場人物も個性的だったので、面白く読めた。
本好きさんには是非お勧めしたい一冊。

追記)
キノベス2012で第1位。
キノベス2012 特設サイト
http://booklog.kinokuniya.co.jp/kinobest2012/

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2012年10月23日

第16回日本ミステリー文学大賞作家の作品 皆川博子『双頭のバビロン』

双頭のバビロン双頭のバビロン
皆川 博子

東京創元社 2012-04-21
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皆川博子『双頭のバビロン』
爛熟と頽廃の世紀末ウィーン。オーストリア貴族の血を引く双子は、ある秘密のため、引き離されて育てられた。ゲオルクは名家の跡取りとなって陸軍学校へ行くが、決闘騒ぎを起こし放逐されたあげく、新大陸へ渡る。一方、存在を抹消されたその半身ユリアンは、ボヘミアの「芸術家の家」で謎の少年ツヴェンゲルと共に高度な教育を受けて育つ。アメリカで映画制作に足を踏み入れ、成功に向け邁進するゲオルクの前にちらつく半身の影。廃城で静かに暮らすユリアンに庇護者から課される謎の“実験”。交錯しては離れていく二人の運命は、それぞれの戦場へと導かれてゆく―。動乱の1920年代、野心と欲望が狂奔する聖林と、鴉片と悪徳が蔓延する上海。二大魔都を舞台に繰り広げられる、壮麗な運命譚。


2段組み540ページ。
読み終えることができるのか不安だった。
ゲオルク、ユリアン、ツヴェンゲルと登場人物をノートに書きとめる。
語り手や時代が交錯するので、頭の整理。
中盤を過ぎると、物語から目が離せなくなった。
ほぼ一気読み。
読みえると放心状態。
映画製作の話はモデルがいるとあとがきがありました。
翻訳小説のような雰囲気、いくつかの謎、映画でも見てるような壮大な物語。
鴉片の麻薬いや媚薬のように読者を虜にする。
読む出すとうすうす感じていた何かは、読み終えると思いがけない場所にいた。
書くとネタばれしそうなので、気持ちは心にしまいます。
読書の醍醐味を堪能。
時間をたっぷり用意してお読みください。

皆川博子さんが第16回日本ミステリー文学大賞受賞。
日本のミステリー文学の発展に寄与した作家や評論家に贈られる第16回日本ミステリー文学大賞(光文文化財団主催)は22日、作家の皆川博子さん(82)に決まった。

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/10/22/kiji/K20121022004388470.html

皆川さん、受賞おめでとうございます。

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posted by 美結 at 14:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | や・ら・わ行の著者 | 更新情報をチェックする

2012年09月03日

心が温かくなる短篇集 矢崎存美『ぶたぶた』

ぶたぶた【徳間文庫】ぶたぶた【徳間文庫】
矢崎存美

徳間書店 2012-03-02
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矢崎存美『ぶたぶた』
本好きさん仲間では、何度も話題になった「ぶたぶたさん」。
ふらりと寄った書店で平積みになっていた。
出版社を変えての復刊だった。

ピンクのぬいぐるみのぶたぶたさん。
見た目は可愛いが、中身はおじさん。
読んでいてクスッと笑うシーン多数で、温かい気持ちに包まれた。
わたしもぶたぶたさんに会いたい。

疲れている友人に薦めたくなる一冊。
続きは図書館で借りようかしら?

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2008年11月10日

野草賛歌 自転車いっぱい花かごにして

渡辺一枝『自転車いっぱい花かごにして』
椎名誠さんが写真と一言、奥様が野草のある暮らしを綴ったエッセイ集。
縁会って知り合った本好きさんから頂いた本。巡り巡ってわたしの手元に来た。86年に出版した本だけど当時読んでもなんも感じなかっただろうと思う。長い年月の間には花と触れ合う機会が増えた。生け花を始め、ベランダで花を育てている。
この本では野草の魅了が書いてあり、お花屋さんのお花をいいけど、自然の姿が一番とおっしゃっている。その暮らしかたは、四季折々ごとの花々、食事や人の付き合い方など、人柄がじんわりと伝わってきて、今日はとても寒いけど気持ちが温かくなった。
椎名さんの作品は読んだことも映画も観たこともないけど、自然のある暮らしをしているんだと思う。写真はフィルム時代。アナログとデジタルの写真を見分けることはできないけど、花や風景の一瞬が見ていて清清しい。自然への賛歌が控えめながらも、心にどーんと響いてきた。
とても素敵な本を頂いて感謝しています。

自転車いっぱい花かごにして自転車いっぱい花かごにして
渡辺 一枝

情報センター出版局 1986-02
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2008年10月01日

遠き日本の昔話 柳田国男『遠野物語』

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柳田 国男

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〈口語訳〉遠野物語
〈口語訳〉遠野物語
柳田 国男

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柳田国男『遠野物語』
最初に口語訳で読んだ。
父は岩手出身。
詳しい解説があり、南部鉄が産業だったことがわかるし、夏休みに岩手に遊びに行くと一関駅には南部風鈴がチリンとなっていた。
養蚕が盛んで、父の生家も兼業で養蚕をしていた。
子供のころ、入手経路は不明だけどお蚕さんを飼ったことがある。
虫の一生が分って、理科の授業より生態がよく理解できた。
父の生家は山の中で、今にして思えば、結界もあっただろうし、従兄は狩猟もしていたので山と共存していた、と思い出した。
日本昔ばなしの「アマノジャクと瓜子姫」も出ていて、宮沢賢治も影響を受けたと解説があった。

それからオリジナルを読んだ。
伝承文化の聞き取りだから、朗読に向いていそう。

タイトル以外に作品も、日本の文化と歴史の変遷。
言葉が時代と共に変わっていく。
価値観とか。
どこかで懐かしさを覚えてた。
読み継がれないと、この本はどうなるだろうと思った。

岩手は中尊寺周辺、厳美渓、リアス式海岸、花巻の宮沢賢治記念館、石川啄木ゆかりの場所、小岩井農場、秋田との県境八幡平などかなり遊びに行った場所が多い。でも遠野は行った事がない。
読みながら懐かしさを感じるのは多分東北DNA。
またアイヌのゆかりの言葉もある。
異人が住んでいたこともあるよう。
肌が白く、髪の毛は明るい栗茶色で一部ウェーブが出る、瞳も明るいわたしの顔。
ちゃんと知りたい思うのは受け継がれたDNAの影響かも。

タグ:柳田国男
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2008年09月10日

お洒落な連作短篇集 吉田音『世界でいちばん幸せな屋上』

世界でいちばん幸せな屋上 Bolero―ミルリトン探偵局シリーズ〈2〉 (ちくま文庫)世界でいちばん幸せな屋上 Bolero―ミルリトン探偵局シリーズ〈2〉 (ちくま文庫)
吉田 音

筑摩書房 2006-12
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吉田音『世界でいちばん幸せな屋上』
装丁が綺麗で、お話もクスっと笑う出来事が散りばめられ、さらにスパイスが効いた本。1ヶ月前友人から借りてすぐに読み終わったけど、あまりに素敵な本だったので感想を温めていました。このような本をプレゼントされた本好きな女性は喜ぶんじゃないかしら?
美しい写真に内容の充実度、もう読んでいるだけで幸せになれます。
同じことをを二度も繰り返している。
それだけ出会えた感動が大きい。

黒猫のシンクがお話を運んできてくれる。
それはアップルパイ、スパイスとカフェ。
アリスがおいでおいでと囁いて、鏡の中にはナニが映るかな。
千夜一夜物語の魅惑もあって、お話の世界は奥深くに突入。
ボレロでわたしの心は高鳴りながら、もっともっと不思議な世界へ導かれる。
アナログレコードが欲しくなる衝動に駆られる。
チョコレートも食べたくなる。
あぁステキ!
場所は横浜へ移動。
シンクは何処へ連れてってくれるの?

と、頭によぎったことを書き留めました。
秋の夜長に肩肘張らずに読書をしたい方にはオススメ。

そういえば『鏡の国のアリス』は本棚で眠ったまま、そろそろ起こさない。

タグ: 吉田音
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2008年08月13日

ひさしぶりのばなな よしもとばなな『ひとかげ』

ひとかげ (幻冬舎文庫 よ 2-15)ひとかげ (幻冬舎文庫 よ 2-15)

よしもと ばなな

幻冬舎 2008-08
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よしもとばなな『ひとかげ』
吉本ばななで発表した『とかげ』をリメイクした作品。
気功師のとかげと児童専門に心のクリニックで働く私。
プロポーズをすると、とかげは「秘密があるの」と打ち明けた。

吉本ばななは一時期よく読んでいたけど、よしもとばななになってからは読んでいないので、10年ぶりに本を手に取った。15年前に『とかげ』を読んだのは8月のある休日で、その日のことはよく覚えている。リメイクした『ひとかげ』に不安を抱きながら読むと、違和感なく読める。忘れていたことを思い出し、今は『ひとかげ』のほうが好き。15年といえば、わたしにも色んなことがあり、感情のひだは増えるし喜怒哀楽が沢山あった。ばななさんがリメイクしたい理由もなんとなく理解できる。老いるのでなく、成長しているんだなと感じた。
ばななさんから遠ざかった人には、是非オススメしたい。
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posted by 美結 at 23:11 | Comment(2) | TrackBack(0) | や・ら・わ行の著者 | 更新情報をチェックする